⑨あずまかるたを歩く 「無病息災願う 稲荷の薬師様」前橋市稲荷新田町

お堂の中を見ると、たくさんの石仏。初めて見たときは思わず「おっ」と声を上げてしまいました。前橋市稲荷新田町の薬師。地域の人たちからは「稲荷(とうか)の薬師様」と呼ばれ、親しまれています。郷土の「あずまかるた」にも詠まれている地域住民の心の拠り所を訪ねました。

あずまかるた「む」の札に詠まれた「稲荷の薬師様」
薬師様が安置されているお堂

濡れた手でなでる

稲荷新田町は約1550人が暮らす町で、古くから家がある一方で、宅地開発が進み、現在も人口が増えている地域です。住宅地の中にあるお堂は町公民館に隣接しています。

解説板によると、万病に効くと伝えられ、願をかけるときは水を持っていき、手を濡らして具合の悪い部分をなでたため、俗に「濡れ薬師」と呼ばれています。

たくさんの石仏はお願いする際、石工に頼んで造らせたもので、説明文には「千数百体」との記述もあります。「病気やけがを治してほしい」「健康で長生きしたい」という人々の切実な願いが込められているのでしょう。

お堂建設へ300人超が寄付

ただ、かつて石仏は野ざらしになっていました。公民館に飾られている写真(下)を見ると、お堂が建てられる前の様子が分かります。1991年に市重要文化財に指定されたことを契機に、市の助成と住民300人余りの寄付により、翌年、お堂が建設されました。

お堂が建てられる前の薬師様
お堂の完成を祝う地域の人たち
公民館に飾られている前橋市の文化財指定書

兵士の無事願う石塔群

稲荷の薬師様に行ったら、立ち寄って欲しい場所があります。薬師様すぐ北にある「猿田彦大神の石塔群」。かなりの数の石塔が住宅の隣に集積している景観に驚きました。

大小の石塔が並んでいます。

近くに建立された石碑によると、日清戦争の出兵の際に無事を願ったり、感謝の気持ちを表したりするために兵士の親族や縁者が建設したといいます。

今回は切なる願いを石像や石塔に託した住民信仰を伝える二つの史跡を紹介しました。

稲荷新田の薬師

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