前橋育英野球部とオールブラックスに共通点があった? 書籍で読み解く「凡事徹底」の大切さ

全国高校野球選手権1回戦で西東京代表の国学院久我山と対戦した群馬代表の前橋育英は序盤優位に進めたものの、5-7で惜しくも逆転負けしました。堅守を誇るチームですが、甲子園独特の緊張感があったのか4失策あり、悔しい結果となりました。ただ、最後まで諦めず奮闘する選手に、多くの県民がテレビの前からも声援を送りました。

前橋育英は4年連続5回目の出場です。2013年には現西武ライオンズの高橋光成選手を擁して夏の甲子園初出場初優勝という快挙を成し遂げました。激戦の群馬県予選を4年連続で勝ち抜くのは並大抵ではありません。荒井直樹監督の指導力のたまものでしょう。

荒井監督は2014年、自身の指導哲学をまとめた著書「『当たり前』の積み重ねが、本物になる 凡事徹底ー前橋育英が甲子園を制した理由」(カンゼン)を出版しています。この副題に入っている「凡事徹底」こそが指導者としての核心部分。イエローハット創業者の鍵山秀三郎さんが常々言っていた言葉なのだそうですが、荒井監督が母校である日大藤沢で指導者をしていたときに出合ったそうです。

荒井監督は著書の中で「誰にでもできることを、誰にでもできないくらい、徹底してやり続ける」「社会でも通用する人間を育てる」ことを大切にしていると記しています。部員たちにはゴミ拾いやあいさつ、食べ物を残さないなど、当たり前のことを何度も何度も言い続けているそうです。こうした些細なことの積み重ねが人間力や結束を高め、本番で力を発揮するチームにさせるのでしょう。

この凡事徹底は日本人特有の価値観なのかと思っていたところ、先日、思わぬ本でこの言葉を見つけました。ラグビー日本代表として活躍した今泉清さんがニュージーランドでのラグビー留学経験をもとに、世界最強と言われる同国代表オールブブラックスについてまとめた著書「オールブラックス 圧倒的勝利のマインドセット」(学研プラス)。世界ラインキング1位の強さはパスやキック、キャッチングといった基本スキルを極める「凡事徹底」にあると指摘しています。また、人格形成を大切にするグラハム・ヘンリー元監督の「Better peple makes better All Blacks(すばらしい人間がすばらしいオールブラックスになれる)」という言葉を紹介しています。

「凡事徹底」を大切にする意味で、前橋育英野球部とオールブラックスが似ていることに意外な驚きがありました。いずれも人間がやるチーム競技であり、共通点はあるのでしょう。そうした哲学は流行り廃りのある戦術・戦略とは異なり、古今東西通じる原理原則と言っていいのかもしれません。

前橋育英にはまた来年も素晴しいチームになることを期待しています。そして、9月20日に開幕するラグビーワールドカップ日本大会でも、日本代表とともにオールブラックスにも注目したいと思います。