新型コロナウイルスの影響で苦境に立つ店舗を支援しようと、前橋市は加盟飲食店・商店で使える電子決済システム「前橋市内店舗応援 電子チケット」事業を実施しています。
スマホ版の〝商品券〟といえる内容で、店側の負担が少なく、精算から入金までの流れがスピーディーなのが特徴。
5000セット(1セット500円券2枚)を発行し、7月1日から10月31日まで登録店で利用できます。

店側が利用者のスマホに押す電子スタンプ
スマホで取得する電子チケットは6月20~26日、児童扶養世帯が優先的に取得。
6月27日から一般を対象に始まりましたが、市外からも取得できることもあり、希望者が多く、初日で配布終了しました。
次の動画は電子チケット事業を説明する市の動画です。
電子チケットとは、いったいどのようなものなのでしょうか。
市の記者会見(5月29日)や解説動画をもとに、内容やメリットについてご紹介します。
使い方は、スマートフォンから専用サイトにアクセスし、スマホの電話番号を入力・送信すると、
すぐにチケットを取得できるショートメールが送られてきます。
お店で利用する際、ショートメールに載ったURLをクリック。
スマホ画面に現れる「STAMP」マークを店に提示し、
お店の人がスマホ画面に専用スタンプを接触した時点で決済が完了します。
初日の6月27日にアクセスすると、電子チケットを運良く取得できました。
早速、買い物してみると思っていた以上に簡単。
おつりは出ないので500円以上の買い物をして、不足分を現金で支払うのが良さそうです。
この手軽さはグッドですね。
スピード精算、非接触で安心
それでは、電子チケットにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
サービス事業者のギフティ(東京都品川区)は記者会見で次のように説明してます。
①非対面・WEBで受け取り、行列無用
②非接触・衛生的な利用で利用者も店舗も安心
③集計・請求不要で店舗に優しい
④スピード精算
紙の商品券を授受するような接触がないのが「ウイズ コロナ」時代には合っているようですね。
また、紙の商品券なら通常、請求から入金まで1~2か月かかるとのこですが、電子チケットは10日から2週間で済むそうです。
下の動画は事業者向けになります。

電子チケットを周知するカード
現時点で190店が参加
市のホームページによると、7月10日時点で参加店は190店。
前橋東地区の店舗は次の通りです。
- だんごの美好上新田店 前橋市上新田町 638-17
- サラードカフェベアーズ 前橋市川曲町 528-1
- 餃子大使 前橋市新前橋町 17-23
- BENTO261 前橋市新前橋町 18-44
- 炭火肉ホルモン酒場シンバル 前橋市新前橋町 25-13
- 高橋与商店 前橋市新前橋町26-5
- 蒼い屋 前橋市箱田町 1584-1
- バルーン専門店ハーティーバルーン 前橋市前箱田町 117-1
- 小松園 前橋市大利根町 1-37-10
- おおとね花ショップ 前橋市上新田町 241-1
- 若林家具前橋本店 前橋市上新田町 699-1
- GGC 前橋店 前橋市小相木町 580-1
- 美容室マッティーナ 前橋市前箱田町 241-1
市議会では異論も
今回の事業にあたり、市議会の一部会派から異論が出ました。
市は5月27日の市議会臨時会で、電子チケット実施のための1184万2000円を盛り込んだ補正予算案を提案したところ、市民フォーラムが事業費を削除した修正案を提出しました。
同会派は修正案の提案理由を次のように説明しています。
店舗支援経費(500万円)が、導入費用等の事務的経費(684万円)より少ないのは問題。
一部の事業所の支援に限られている。支援対象店舗400店と想定していることは大変不公平な制度設計であり、対象店舗数を増やすべきである。
福祉的視点が弱い。
修正案は市民フォーラムと共産党市議団、なないろの計3会派が賛成しましたが否決。原案が賛成多数で可決され、電子チケット事業が実施されることになりました。
ふるさと納税の返礼品としても活用目指す
ギフティの電子チケットサービスは壱岐市、五島市といった長崎県の離島や岡山県瀬戸内市などの地域で採用されています。
群馬県内では前橋市が初めてになります。
市は今回の取り組みを実証実験と位置づけており、今後、このシステムを使って、対象店舗の拡大やふるさと納税の返礼品としての活用を視野に入れています。
山本市長は定例会見で次のように述べました。
もし前橋に旅行に行こうという方が遠くの街から前橋に10万円のふるさと納税を行えば、3万円の電子チケットをお渡しすることができます。そのチケットで、前橋のまちで泊まったり、あるいはお買い物、お食事をしていただいたり…そんな道具にもなる。
店舗数が少ないという指摘については、前橋のたくさんのお店、宿屋さん、食堂が参加をしていただけるようにしていきたい。前橋中まるごと、どこでも、誰でも使える電子決済の仕組みとして提供していく、そのスタートだと私たちは考えています。
対象店舗が限定的である点など、議会でも指摘があったように課題はあると思います。
ただ、ユーザー側の視点として実際に使ってみてどうなのか。請求から入金までの流れがスピーティーである点など、店側の利便性はどうなのか。しっかり見極めた上で、さらなる事業展開の可能性を探りたいと考えます。