あずまかるたの札を歩いて巡るシリーズ6回目は、前橋市江田町の鏡神社。 あずまかるたに「歴史ある鏡神社に獅子が舞う」とあるように獅子舞が有名です。 前回紹介した染谷川から足を伸ばしました。
びゅんびゅんと車が行き交う旧国道17号沿いにありながら、境内に一歩足を踏み入れると、静けさが漂います。鳥居付近には「市重要無形民俗文化財 江田鏡神社の獅子舞」と刻まれた石碑が建っていました。
解説板や地元の人の話によると、起源は明らかではないものの、獅子舞は江戸時代末期に旧群馬町から伝承されたと伝えられています。かつては10月8日の本祭りと、前夜祭で奉納されていましたが、今は2年に1度、前夜祭のみに実施。「前夜祭」で分かるように市内では珍しい夜間に行われる獅子舞です。
伝統を受け継ぐのは、地域住民でつくる「江田町獅子舞保存会」です。メンバーは上は80代、下は30代の約15人。かつては長男だけに伝授してきましたが、人数が集まらないため、現在はその縛りをなくしています。獅子舞奉納は昨年あったため、次に行われるのは2020年。10年以上前に一度見たことはあるのですが、次回はぜひ見たいと思います。
鏡職人がつくった?
参道の先に本堂があります。それほど大きくはありませんが、風格を感じます。いつごろ出来たのでしょうか。
解説板によると、創建は平安末期より以前と考えられるらしい。元総社に上野国の国府があり、畿内から鏡を作る職人も呼び寄せられました。そうした中、鏡作りを業とする人たちの氏神である大和国の鏡作神社を勧請し、創建したのではないかと考えられています。
神社の建物は慶長年間に殿堂、明治25年に社殿、大正2年に本殿や屋根が修善されました。その後も手が加えられ、最近では昭和58年に社殿や屋根などが改修されました。
境内のすぐ隣には、二十二夜堂もあります。 子育て安産を願う女性による観音信仰の一つで、如意輪観音と淡路様が祀られており、今でも毎年2月22日に女性たちが集まり、和讃を唱えます。
今回訪ねた鏡神社がある江田町は、古い大きな日本家屋が残り、新興住宅が多い東地区の中で独特な存在感を放っています。歴史を感じながら、楽しい散策となりました。
鏡神社 前橋市江田町689