前橋市や高崎市などを流れる天狗岩用水が、世界かんがい施設遺産に登録されました。
群馬県内では雄川堰(甘楽町)、長野堰用水(高崎市)に続き3例目。
前橋東地区の住民にとっても身近な用水で、歴史的価値を見直す契機になりそうです。
https://www.maff.go.jp/j/press/nousin/kaigai/201209.html
前橋の利根川西部は、かつて榛名山麓からの水を活用して農業をしていましたが、水不足に苦しめられてきました。
ただ、利根川の水を引くには川西部の方が標高が高くなっており、上流から取水する必要がありました。
元総社地区を治めていた秋元長朝が開削に取り組み、1604年に天狗岩用水が完成しました。
八幡川合流までの区間で、その後1610年ごろ、現在の玉村町方面まで延長されました。
八幡川合流地点より下流は滝川の名称で親しまれています。
農業の画期的な発展、食糧増産に寄与
世界かんがい施設遺産は国際かんがい排水委員会が認定・登録する制度で、建設から100年以上が経過し、かんがいが主目的なダムやため池等の貯水施設、古い水車などが対象となります。
主な基準としては次のように記されています。
かんがい農業の画期的な発展、食糧増産、農家の経済状況改善に資するもの
構想、設計、施工、規模等が当時としては先進的なもの、卓越した技術であったもの
設計、建設における環境配慮の模範になるもの
こうした基準をみると、天狗岩用水の価値を再認識させられます。
その価値は過去にとどまらず、前橋、高崎、玉村地域の水田を潤す現在も人々の暮らしも支えています。