子どもたちが和讃(昔の歌の一種)を唱えながら、お地蔵さまが載った台車を引っ張り、練り歩く「かつぎ地蔵祭り」が7月28日午前8~10時に開かれます。五穀豊穣や産業発展、安産や無事の子育てを願って、2年に1度行われる地域の伝統行事。前橋市の東箱田後家公民館を発着点に、およそ2時間かけて2キロを歩きます。
地元の人たちによると、仏教の念仏踊りをルーツに、江戸中期に地域の行事として発展したと考えられています。昭和33(1958)年頃から一時中断しましたが、昭和60(1985)年、30年ぶりに復活しました。
お祭りの〝主役〟であるお地蔵様は、「東村村誌」の記述によると、正徳5(1715)年、後家の田村八兵衛が作ったとされています。宮大工の八兵衛は、京都で修行をした後、後家に移り住んだと伝えられています。名人として後世に名を残し、地元の後家稲荷本宮、小相木町の大徳寺総門、伊香保・水沢寺の六角堂を制作したといいます。八兵衛の功績をたたえようと、今年3月には、東地区の自治会連合会と歴史散歩の会が後家稲荷本宮前に顕彰碑を建てました。
和讃は独特なメロディーで、子どもたちは練習して当日に臨みます。以下は和讃の一部です。
「橋和讃」
帰命頂礼(きみょうちょうらい) この橋は いかなる人のかけた橋 かねで中ろうをつみ上げて 善人とうれば広き橋 唯念仏にて「そりゃ」通るべし とよなんまいだあ
「日出の山」
帰命頂礼 日出の山 登り登りてあとみれば 峰にゃお地蔵の「こりゃ」お立会 とよなんまいだ
お祭りでは、生まれた赤ちゃんの名前を三角ふとん(三角の布)に書き、お地蔵様の周りに貼り、健やかな成長を願います。
かつぎ地蔵様保存会長を務める、東箱田後家町自治会の石坂章臣会長は「地域が安全で、子どもたちがすくすく育ってほしいです。お祭りを通して、普段、行き合わない人とも親睦を深めてもらえれば」と話しています。