最初に写真から紹介します。
安いです。花の一般的な価格に詳しくありませんが、安い!
東小を北に行った、Yの字手前に平和堂(前橋市箱田町)はあります。
鉢植えを中心に生花を販売しており、「あまり他の店のことは知らないないけど、たぶん安いよ」と店主の新井宏昇さん。「たぶんじゃなくて、本当に安いと思います」と切り返してしまいました。
花屋なのに予想外のモノが…
ところが、店の中に入ると、花とともに売っていたのは、ゴルフ用品です。
もともと新井さんはゴルフ用品の問屋やスポーツ用品店に勤めていました。結婚を機に独立し、この店を構えました。当初は以前の顧客との競合を避けるため、文房具をメインにゴルフ用品を販売する業態でしたが、その後、ゴルフ用品を主力に据えていきます。
ゴルフコンペの景品用に胡蝶蘭やシンビジウムも次第に扱うようになりました。すると、顧客から「パンジーは取り寄せてもらえるの」と要望があり、景品用以外の花も売るようになりました。しかし、安いと聞きつけた客が来ても、扱う花の種類はごくわずか。「これしかないの」とがっかりされたこともあったそうです。リクエストに応え、扱う花を増やしていきました。
店主新井さんのもう一つの顔
店の奥の応接室には、新井さんのもう一つの顔が見えます。芸術家としての顔です。新井さんは19歳の頃から、木の板に、はんだごてを使って絵を描き始め、「木面焼画」という独自のジャンルを確立しました。これまでに日本手工芸美術協会の最優秀新人賞や同協会長賞、芸術新聞社賞をはじめ、数多くの受賞歴があります。
新井さんの実家は、機械の基板製造をしていた関係で、はんだごては身近にありました。作業している際に、はんだごてで板に線が引けることに気づき、木面焼画に取り組むようになります。はんだごてを板に接する時間で色の濃淡を調節。板をキャンバスとするため、木目を作品に生かせる利点があります。作品づくりは板を選ぶところから始まるそうです。
ゴルフ用品の販売を始めて約30年、花を扱ってから20年が経ちました。自営業を営むのも絵を描く時間がほしかったから。「今後の人生、何よりいい作品を残したい」と言い切ります。昨年、銀座で個展を開きましたが、次回は前橋か高崎で開催したいそうです。楽しみですね。
平和堂 前橋市箱田町660-1 午前8時~午後7時ごろ 年中無休 027-253-3181