自治会

築42年、進化続ける交流拠点 自治会運営の大利根町公民館を訪ねました

前橋市の大利根町公民館は、行政ではなく自治会が運営する公民館です。

職員を配置し、生涯学習を支援、高い稼働率を誇ります。

使用料を支払う有料来館者は年間延べ約1万人、利用料のかからない自治会活動を含めると2万人超が訪れます。

2年前にはドイツ製の階段昇降機を導入したほか、防災備品も充実。進化を続ける交流拠点を訪ねました。

「他人同士」が縁あって第二の故郷づくり

「公民館はいつ建てられたのですか」。15年ほど前から、ここで働く吉田知江副館長に聞くと、厚い広報紙のファイルを取り出してくれました。そこには昭和51年、大利根町公民館の完成を知らせる記事が。くしくも大利根住宅団地の入居が始まり、ちょうど10周年に当たる年でした。

副館長を務める吉田さん

完成当時の広報紙。号外を組んで公民館を特集しています。

当時の地元市会議員、浅井直行さんが広報紙に寄稿しています。公民館に寄せる住民の気持ちがよく出ているように思いました。引用します。

昨日まで、まったくの他人同士であった私達が縁あって、この大利根の地に住いを定め、第二の故郷づくりを目指して蒔いた一粒の種が、こんなに大きく実るとは、なんと素晴らしいことではありませんか。

大利根住宅団地は県企業局が造成した第一号の大規模住宅団地。

田畑を切り開き、地縁・血縁のない人たちが居を定め、出来上がった町。だからこそ、コミュニティーの場が必要であり、公民館を建てたのではないかと推測できます。当時、行政からの補助もあったのでしょうが、1世帯あたり3万円を徴収し、建設費に充てたといいます。

活発な文化・軽スポーツ活動

現在職員は吉田さん含め3人。平日1人が詰め、管理運営を担います。人件費は、いずれも公民館の使用料で賄い、住民から集める自治会費は使っていません。受益者負担による独立採算の運営がなされています。

活動団体はバラエティー豊か。ダンスや囲碁、ヨガ、太極拳といった大人向けのものから、体操教室や学習塾といった子ども向けのものもあります。

事務所を出ると、ホールの中から、にぎやかな声が。スマイルボウリングのサークルが練習をしていました。ピンが倒れるごとに歓声が響きます。みなさん元気いっぱい!

ドイツ製の階段昇降機を導入

一方で、施設の建設から40年以上が経ち、利用者の高齢化も進んでいます。このため2年前に、足が悪いお年寄りでも2階に上がりやすいよう、階段昇降機を導入しました。座っているだけで2階に上がれる、ドイツ製のすぐれ物。吉田さんに実演してもらいました。機械に腰を下ろし、操作すると、取り付けられたレールに沿って、ゆっくり、ゆっくり進んでいきます。これなら安心ですね。

2年前に導入した階段昇降機。安全性を入念に確認し設置しました。

最後に防災の備蓄品を置く倉庫を見させてもらいました。ヘルメットや担架、ブルーシート、バケツのほか、声が遠くまで聞こえるようにメガホンまであります。非常食のアルファー米は賞味期限を記し、ダンボールの中に保管されていました。

ヘルメットやブルーシート、バケツなどが整理され置かれている倉庫。

除雪機と芝刈り機

大利根町は設備が充実しているという印象を受けました。「こんなに持っている自治会はほかにもあるのでしょうか」。福島昇自治会長に尋ねると、「ここまであるところは少ないかもしれないですね」。お金の問題もあります。そのことについても質問すると、「行政の補助金を活用しているため、ほとんど自治会の持ち出しはありません。だから反対も出ません。補助金のことを知らないと損をしてしまいます」。

福島さんは県庁の元企画部長。行政の補助金に精通しています。補助金に強いことは、これからの自治会長が持つべき力の一つかもしれない。そんなことを感じました。

8月5日には、大利根町の夏祭りが公民館前の大利根中央公園で開かれます。大利根町という町名ができて50周年。今回は、例年以上に力が入っています。新しく購入したやぐらは現在、公民館の倉庫で保管されており、本番にお披露目されます!

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熱中症対策のお茶も用意されていました。

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