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「これからも続けたい!」獅子舞継承へ児童ら12人が体験 前橋市江田町の保存会が指導

夜の境内で笛と太鼓に合わせて獅子が舞う──。夜間に奉納されることで知られる前橋市の重要無形民俗文化財「江田鏡神社の獅子舞」。この伝統を守る江田町獅子舞保存会(唐澤幸好会長)が後継者不足に悩むなか、地元の子どもたちの参加を募り、体験会を始めました。

6月13日から19日まで7日間連続で行われた練習会には、町内在住の園児から小学6年生までの12人が参加。和楽器の演奏や独特な踊りを熱心に学びました。

江戸末期から続く無形文化財

江田鏡神社の獅子舞は江戸時代末期に旧群馬町の稲荷台から伝わったとされ、2008年3月に市の重要無形民俗文化財に指定されました。獅子舞をほめる「ほめ言葉」と、それに応える「返し言葉」の掛け合いが特徴とされています。現在、保存会のメンバーは30代から90代の11人。五穀豊穣や無病息災を願って隔年秋に演舞を奉納していますが、メンバーの高齢化が大きな課題となっていました。

小学校での演舞がきっかけに

体験会のきっかけとなったのは、昨年12月3日に開催された地元、前橋東小学校の創立150周年記念行事です。保存会が招かれ、全校生徒を前に演舞を披露したところ、会場は大いに盛り上がり、拍手喝采を浴びました。この子どもたちの良い反応が後押しとなり、保存会は20年ぶりに子どもたちを募集し、練習会への参加を呼びかけたのです。

すると、12人の子どもたちがこの呼びかけに応じ、鏡神社の隣にある江田町公民館で行われる体験会に参加しました。保存会のメンバーが手取り足取り基礎から教えると、子どもたちはみるみるうちに技を吸収していきました。

深刻化する郷土芸能の担い手不足

群馬県の郷土芸能(獅子舞、神楽、人形芝居、祭囃子など)は、少子高齢化や人口減少、新型コロナウイルス感染症の影響により、担い手不足が深刻化し、その伝承が難しくなっています。

令和5年度の「ぐんまの伝統芸能アンケート調査」では、アンケートを送付した県内の伝統芸能団体は384団体で、前回の調査(令和3年度)と比較すると、担い手不足などから活動を休止・中断する団体が増加し、団体数は25減少しました。

後継者育成の現状についての問いには「どちらかといえば順調」と答えたのは26%にとどまり、34%が「どちらかといえば順調ではない」、33%が「危機的」と回答しており、厳しい状況が浮き彫りになっています。

郷土芸能大会の出場目指す

6月最後の練習となった19日には、公民館内で踊りや音を合わせた後、本番さながら、日が暮れて薄暗くなった境内で演舞を披露しました。子どもたちからは「動きが難しい」と、普段しない独特な動作に戸惑いながらも、「決めのポーズが楽しい! これからも続けたい」と、弾けるような笑顔で話していました。

保存会は7月にも11~17日、江田町公民館で練習を実施し、11月に開催される前橋市郷土芸能文化祭に、子どもたちと一緒に出演することを計画しています。

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