JR新前橋駅が7月1日、開業100年を迎えます。
地域の発展を支えてきた交通の要衝であり、地元はお祝いムードに沸きそうです。
同駅は大正10(1921)年7月1日に開業。この時、開通したのが上越南線(現在の上越線)・新前橋駅ー渋川駅区間。なので、渋川駅も開業100年となります。
萩原朔太郎がよんだ100年前の姿
詩人・萩原朔太郎は「新前橋驛(えき)」という詩を残しており、駅東口には作品を刻んだ詩碑があります。
萩原朔太郎「新前橋驛」
野に新しき停車場は建てられたり
便所の扉風にふかれ
ペンキの匂ひ草いきれの中に強しや。
烈烈たる日かな
われこの停車場に来りて口の渇きにたへず
いづこに氷を喰まむとして売る店を見ず
ばうばうたる麦の遠きに連なりながれたり。
いかなればわれの望めるものはあらざるか
憂愁の暦は酢え
心はげしき苦痛にたへずして旅に出でんとす。
ああこの古びたる鞄をさげてよろめけども
われは瘠犬のごとくして憫れむ人もあらじや。
いま日は構外の野景に高く
農夫らの鋤に蒲公英の茎は刈られ倒されたり。
われひとり寂しき歩廊(ほうむ)の上に立てば
ああはるかなる所よりして
かの海のごとく轟ろき 感情の軋(きし)りつつ来るを知れり。
「野に新しき停車場は建てられたり」と、建設当時をうたう詩は今とはまったく違う新前橋の姿を描写しています。
それから100年。通学・通勤で多くの人が利用し、1日あたりの乗車人員は6160人(2019年度)。高崎駅、前橋駅に次ぐ県内3番目の利用者数を誇ります。
渋川駅も100年ですので、渋川市も盛り上がりそうですね。7月は上越線に注目が集まりそうです。