歴史

中曽根元首相の書が刻まれた碑 箱田堰水路完成祝った地域の印

前橋市立東小学校の南西に位置する「あずま林の広場」(箱田町)に大きな石碑が建っています。

「豊かな水 千古に」。揮毫したのは故中曽根康弘元首相。「千古(せんこ)」とは聞き慣れない言葉ですが、「永遠」という意味があります。

農業用水として利用されている「箱田堰水路」の改修記念として昭和61年に建立されました。

散歩コースとして人気の滝川沿いにありますので、目にする人も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、この碑と箱田堰水路を紹介します。

故中曽根元首相の書が刻まれた石碑

洪水や水不足解消にかんがい排水工事

箱田堰

工事は県営かんがい排水事業として昭和55年に着工し昭和60年に完了しました。

農業用水路の説明と工事の経緯を説明する碑裏側の文章によると、工事したのは取水口1か所と水路2480㍍。参考に説明文全文を掲載します。

 

碑文

本水路は、農業用水路として遠く慶長の昔に開削され、備前堀ともいわれた。

水源を天狗岩用水(滝川)に求め、前橋市前箱田、稲荷新田、川曲の各町と高崎市京目、島野、元島名、矢島、西島、一ツ谷、新保田中、上新保、下新保の各町の肥よくなる田に水を潤していた。

取水堰は近年の社会の変遷に伴い市街化が進行して雑物等の堆積と併せて出水による取水機能が著しく低下し、又、水路は土水路のため積年の変化で通水能力が減退し、田植期には水不足に悩まされ、降雨の際は溢水を生じ、水管理に多大なる労力と費用を徒費していた。近年農業近代化が叫ばれる中で農業の根本たる水に悩まされることを農民も漸く自覚し、頭首工及び水路の改修を実施することに衆議一決全耕作者一丸となり県営かんがい排水事業として着手することとなった。

然し、緊縮国家財政の渦中での予算の確保又工事の仕様、用地交渉等困難なこともあったが関係機関及び役員の努力と受益者の暖かいご支援により念願の完工を見るに至った。

此の大事業に国、県、前橋市、高崎市、天狗岩堰土地改良区の指導と多大の援助を衷心より感謝すると同時に、整備された水路に波打つ豊かな水の恵みにより子々孫々の食糧自給に永劫に役立つことを願ってやまない。

昭和六十一年三月吉日

碑が建立された昭和61年は、中曽根氏は首相在任中。揮毫の肩書きも「内閣総理大臣」となっています。

中曽根氏も2019年11月に101歳で亡くなりました。

昨年12月、約400年前につくられた天狗岩用水が「世界かんがい施設遺産」に登録されました。

かんがい事業は時は超えて、後世の人々の暮らしを支えます。

天狗岩用水から取水する箱田堰水路も中曽根氏の書にあるように「千古」に地域を潤してくれるはず。

近くを通った際は「大勲位」の書を目にしながら、地域の歴史を感じてみてはどうでしょうか。

 

あずま林の広場

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