最近、ネットやテレビ、新聞などで「GIGAスクール構想」という言葉をよく見聞きするようになりました。
すべての小中学生にパソコンやタブレット端末を1人1台配備する国の構想で、前橋市でも2021年3月までに1人1台の端末が貸与されます。
新型コロナウイルスの感染拡大により、大幅に計画を前倒して実施されることになったGIGAスクール構想について解説します。
目次
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そもそもGIGAスクール構想って何
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前橋の場合はどうなるの?
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タブレットで宿題、学級だよりもデジタル化
GIGAスクールは、文部科学省が2019年12月に打ち出した構想です。
当初は2023年度までの5カ年計画でしたが、コロナ禍により一気に加速されました。
そもそもGIGAスクール構想って何
GIGAは「Global and innovation Gateway for All 」の頭文字。
「すべての子どもたちにグローバルで革新的な入り口を」という意味で、1人1台の端末と高速通信ネットワークを整備することで、ICTを活用した学習環境をあまねく提供するというものです。
萩生田光一文部科学大臣は2019年12月、「PC端末は鉛筆やノートと並ぶマストアイテム」と発信。GIGAスクール構想の推進は、長時間労働が問題となっている教員の働き方改革にもつながるとしています。
国は2020年度補正予算で端末整備の費用として1951億円、学校ネットワーク整備に71億円、家庭学習のための通信機器整備支援に147億円など、GIGAスクール関連に計2292億円を盛り込みました。
群馬県内においては端末の配備状況は市町村によって大きく異なり、上野村のように、いち早く双方向の遠隔授業に取り組んだ事例もある一方で、端末整備が進んでいない自治体がありました。
前橋の場合はどうなるの?
前橋市では2020年3月に小中学校、特別支援学校、市立前橋高校の全児童生徒に1人1台の端末が配られます。
貸与方式を採用し、児童生徒は自宅に端末を持ち帰ります。
家庭学習にも活用でき、通信費用は市が負担します。
前橋市の2021年度一般会計当初予算案の総額は、過去最大の1563億6400万円となりました。
教育分野に力を入れており、GIGAスクール構想に3億90万円、教育情報ネットワーク再構築業務委託費2億6940万円を計上しました。
こうしたICTを活用した教育を進めるため、前橋市は現在、「学校教育・情報化推進計画」の策定作業を進めています。
2021年度から2023年度までの3カ年の計画で、素案を市のホームページに公開し、2月18日から3月17日までパブリックコメントを求めています。
計画案によると、目指すは「自らの可能性を広げ、新たな価値を創り出す学び」。
それぞれの学習習熟度に応じて、個別最適な学びを提供するとともに、課題解決に必要な情報活用能力を育成するとしています。
オンラインの利点を生かし、外部の人へのインタビューをしたり、タブレット端末で宿題のドリルしたりします。
学級便りなど配布物はGoogleのサービス「クラスルーム」を使って合理化。保護者アンケートもGoogleフォームを利用するとしています。
タブレット端末の活用例
ドリル学習
プログラミング学習
カメラ機能を使った実技練習
調べ学習など
課題は先生のスキルアップ、財政負担も
ICTは上手に活用すれば、子どもたちの学びを深め、今後ますます必要となるITスキルの習得にもつながっていくでしょう。
ただ、ITスキルの習得や授業づくりは大変そうです。
教員の負担軽減も狙ってのGIGAスクール構想ですが、特に導入期においては負担増になる可能性も。
学校教育・情報化推進計画案には、総合教育プラザでの「ICT授業づくり研修」を充実させていくことも盛り込まれました。
また、県は2021年度予算案に「教育DX推進コーディネーター」を教育事務所に配置するとともに、小中学校には「教育DX推進スタッフ」を置いて現場を支援する事業費億5400万円を盛り込みました。
結局、ITのスキル習得や授業づくりは、どんどん実践し、試行錯誤するのが一番の早道。
最初は戸惑いながらも、成功事例を共有したり、IT専門家と連携したりして、現場から新しい活用法やアイデアが出てきそうですね。
研究と実践を進めてもらい、端末を存分に活用してほしいと思います。