小鳥のさえずりが響く、緑に囲まれた弓道場。凛とした緊張感のなか、袴姿の愛好者が黙々と稽古に励んいます。
南部大橋近くにある誠心館佐京道場(前橋市小相木町)。東側には利根川が悠々と流れています。
公営の道場が多い中、県内でも少ない個人が運営する弓道場です。
35年前、自宅に開設
35年前、館長を務める佐京武數さんが、自宅の隣に開設しました。
火、木、土、日の週4回、いずれも午前中に開き、市内外から約30人が腕を磨いています。平日はリタイヤした人や主婦が中心。土日になると、会社員や学生も通ってきます。
「矢を的に当てよう当てようと思うと当たりません。戦う相手はなく、自分に克つことが求められる。精神的にいい。立ったり座ったりするから、体も鍛えられます」。佐京さんは弓道の魅力を、こう語ります。
定年後挑戦する初心者も
生徒の中に経験者もいますが、ここで初めて弓に触れる人が大半。定年を機に趣味を持とうと挑戦する人も多いそうです。
一方で、「始めたいけど道具をそろえるのが大変そう」と思う人は多いかもしれません。手袋だけは購入してもらう必要がありますが、弓と矢を貸し出しています。服装もトレーニングジャージから始めればいいそうです。
稽古を見学させてもらうと、みなさん姿勢がいい。撮影するのもはばかられるほど、深い集中状態にある様子。的の中心に当たっても、あるいは外れても表情一つ変えない。平常心を保つ精神が鍛えられそうです。
「弓道はいくつになってもできます。こんないいスポーツありません」
そう話す佐京さんは89歳とは思えない若々しさでした。
誠心館佐京弓道場 前橋市小相木町645-2 ☎027-251-5634