⑭あずまかるたを歩く 「天覧で竹刀ふるった柴田正美」 昭和天皇の前で稽古を披露した剣士

前橋東小の東側の道を1キロほど南に行くと、剣道・居合道「上毛源流会振武館」の道場があります。標柱には「剣道範士・居合道錬士六段 柴田正美」という名前が記してありました。この人こそ道場の創設者で、天覧武道大会にも出場した故・柴田正美(しばた・まさみ、1906-1979年)さんです。郷土の「あずまかるた」にもうたわれている地元の英雄です。

あずまかるたの「て」の札

あずまかるたの解説によると、柴田さんは前橋市稲荷新田町の生まれ。群馬県立前橋中学(前橋高校)を卒業後、現在の東京電力に入社しましました。剣道範士七段、居合道錬士六段で、豪快な面打ちや鋭い突きを得意としました。自宅に道場を開いて後進の育成に力を注ぎました。

柴田正美さんが初代館長を務めた上毛源流会振武会

市会議員としても活躍、県剣道連盟や県野球連盟の要職も歴任しました。1934(昭和9)年の昭和天皇行幸の際には天覧稽古、1940(昭和15)年には「奉祝天覧武道大会」に出場しました。剣の道を極める一方で、剣道以外のスポーツの振興にも尽力し、政治家としての顔を持ったりと幅広い分野で力を発揮しました。

戦前という時代、天覧で竹刀を振ることの意味は今以上に重みと名誉を伴うものだったのではないかと想像します。たくさんの子どもたちが心身を鍛え、技を磨き、この道場から多くの人材が輩出されました。標柱には生徒募集のチラシが張ってありました。

上毛源流会振武館 前橋市稲荷新田町501