夜空の下でハイボール　新前橋駅東口にトレーラーハウスのウイスキーバー「SHINMAE-BASE」

新前橋駅東口に2023年1月、屋外でウイスキーを楽しめるカジュアルウイスキーバー「SHINMAE-BASE」がオープンしました。店舗はビルとビルの間の土地に構えたトレーラーハウス。夜空の下で自慢のハイボールをはじめ、珠玉のウイスキーが味わえます。店主の杉野弘季さんは「新前橋に貢献したかった。この店から周辺の店に繰り出してもらえるような新前橋の基地になりたい」と夢を描いています。

海外でのウイスキーとの出会い

「ウイスキーが大好きで、いつかバーを開いてみたい」という夢を温めてきた杉野さん。結婚を機に住み始めた新前橋のためになりたいと地元での開業を模索してきました。たまたま駅前の更地に立った「For rent」の看板を目にし、土地所有者に相談したところ借りることができました。場所はBENTO261と串もんの間。本業である福祉の仕事を続けつつ、2023年1月10日にバーを開業しました。「福祉の仕事を10年間続けたということで、妻にはちょっとわがままを言いました。家計には迷惑かけないという条件で。一大決心でした」。

業態は当初キッチンカーを考えていましたが、乗りながらだと、どうしても客を見下ろす形になってしまうのが「嫌だった」といいます。ネット検索してトレラーハウスの存在を知り、費用的にも求めやすく、客と同じ目線でやりとりできることから購入しました。

ウイスキーとの出会いは15年ほど前。前職の会社員時代に東南アジアに海外赴任していたときでした。地域的に洋酒が手軽に楽しめる環境にあったことから、ウイスキーをたしなむようになりました。魅力にとりつかれ国内外の銘柄を試し、今では自宅には約150種をそろるまでになりました。

冷凍庫で保管しているウイスキーで作る「とろハイボール」

店のイチオシメニューはハイボール（500円～）。ウイスキーはサントリー角瓶、ホワイトホース、ブラックニッカリッチブレンドの3種類から選べ、冷凍庫に貯蔵しています。アルコール度数が高いウイスキーは凍らず、とろみが出て一層美味しく味わえるといいます。鮮烈な炭酸の刺激を味わってほしいとして、瓶に入った炭酸水はハイボール一杯に付き一本使い切りで提供しています。

もちろん、ロックやストレートも。店には常時30種類ほどのウイスキーを用意しています。

お湯割りにしてガムシロップで甘味をつけたホットウイスキーも女性を中心に人気。手頃に楽しめるウイスキーのほかにも、人気から手に入りづらくなっているウイスキーも並べました。取材に訪れたこの日は、ウイスキー愛飲家から注目を集めるガイアフロー静岡蒸留所の「ブレデッドM」を紹介していました。

電球が醸し出す懐かしい雰囲気

料理はおでんや唐揚げ、乾き物、ドライフルーツを提供します。座席はカウンター席のほか、4人掛けのテーブル席が二つ、立ち飲みテーブルが二つ用意され、どこか懐かしさを感じさせる電球の明かりの下で飲食を楽しめます。

大好きな新前橋のために

杉野さんは、埼玉県さいたま市大宮の出身。新前橋に住んで7年になり、この地域を深く気に入りました。両毛線や上越線が通る新前橋駅があって交通の便は良く、地域にまとまりがあるといいます。「なにより住んでいる人がいいですよね。本当にいいところなのに地元の人に言うと、分かってもらえないんです」と少し悔しそう。

新前橋で飲むことも多く、周辺の店主ともすっかり顔なじみになりました。店名を「SHINMAE-BASE」としたのも1軒目として利用してもらい、その後は新前橋の他店に足を運んでほしいから。「1軒目に飲んでもらったら二次会の店には僕が連絡して予約します。この店から飛び立ってほしいという意味で「SHINMAE-BASE」。お店によっては一見さんだと入りづらい店もあると思うので、つないでいきたいです」

地元の人たちとのつながりやInstagramでの発信を通して、開店間もないのに多くの人が店に足を運びました。駅前でトレーラーハウスは目立ち、駅から帰路に就く人も引き込まれるように立ち寄る人も。取材中も、ぶらり寄っていく人もいました。新たな新前橋の人気スポットになりそうです。