新型コロナウイルスの感染が爆発的に広がるなか、前橋市内でも感染者が急増しています。
これに伴い、医療機関の受け入れ体制がひっ迫し、救急傷病者の搬送先がなかなか決まらず、10回目の照会でようやく受け入れられたケースもありました。
1月28日に開かれた市の定例会見では、市消防局職員が「救える命を救えないということになりかねない」と窮状を訴え、あらためて救急車の適正利用を呼びかけました。
発言は動画43分から46分20秒ごろになります。
以下、会見での消防局職員の発言です。
消防局における新型コロナウイルス感染症拡大による救急活動への影響について申し上げたいと思います。
現在の新型コロナウィルス感染症による感染拡大の影響を受け、医療体制のひっ迫が社会問題となっておりますが、救急現場においても影響をきたす事態となっております。
具体的には新型コロナウイルス感染症に感染した方もしくは感染の疑いがある方から救急要請を受けた場合に受け入れる救急医療機関に限りがあり、搬送先医療機関が決まらず、現場に滞在する時間が延伸する事態が起きております。
また市内全体で医療体制がひっ迫していることから通常の救急事案についても搬送先医療機関が決まらない事態に及んでおります。
重篤な症状が認められる傷病者に対して円滑に医療機関に搬送できないというのが現状です。
傷病者の受け入れ医療機関の決定に苦慮する事案、いわゆる救急搬送困難事案が増えてきています。
今月に入り最も多く医療機関に傷病者の受け入れ照会を実施した回数は9回。10回目でやっと収容医療機関が決定する事案も発生しております。
救急隊は発熱や呼吸器症状が認められる方を搬送する際にはこのような防護服を着て出動することがございます。(会見では、防護服を着用した職員も出席しました。)
こちらは通常の感染防止着を着るよりも着装に時間を要することから、救急要請から出動までに時間を要することも本市消防局としての苦慮していることの一つであります。
現在は新型コロナウイルスに感染している方が必ず医療機関を受診できる体制整備が追いついてないのが現状であります。
救急要請を受け救急隊が出動しても医師からの助言により救急搬送の対象とされない事もございます。
搬送の対象とならない事案に対応している中でも本当に救急車を必要としている方からの助けが求められています。
1件の活動時間が延伸することで連続した救急出動が増え、救急隊も医療スタッフ同様、疲弊しております。
このまま受け入れ照会回収が増加し、病院到着時間が延長すれば心肺停止や重症外傷など緊急度、重症度の高い傷病者に対して病院前救護体制の提供が滞り、限りある救急車が不足する可能性があります。
救える命を救えないということになりかねません。
市民の皆様に日頃から救急車の適正利用について、ご協力していただいているところではありますが、本当に救急車が必要かどうかをもう一度判断していただき、救急車の適正利用ご協力の程よろしくお願い致します。