新前橋駅前に店を構える生パスタ製造&販売「コナリエ」(前橋市新前橋町)。
前回は起業に至る思いや創業間もないころのエピソードを紹介しましたが、今回は地元の食材にこだわるパスタ作りについてのお話です。
コナリエのパスタの特長はどんなものなのでしょうか。
群馬県産の小麦をブレンドして作っています。
イタリアだと「デュラム・セモリナ」という小麦粉を使わないと、パスタとは認められませんが、わたしの場合、なるべく顔の見える地元の農産物を使っています。
いろんな人に生産者を紹介してもらい、直接話をして、この人がここで作っている、というのが分かっているものを選んでいます。
農家さんの愛をいただいて、それをわたしが製品にして、それぞれのご家庭に届いたらいいなあと思っています。
パスタの麺は何種類ぐらい作っているのですか。
6種類から始めて、今は10種類以上のパスタを作っています。
粉を変えたり、群馬県のお野菜を入れたりして、「季節もの」も作っています。
うどん文化だからなのでしょうか、人気があるのは太麺です。
もちもちしていて生パスタらしいと言われます。
旬を楽しむというのはパスタの麺に入れるのはもちろん、ソースにも、その時々の農家から届いたお野菜を使います。
「ぐんまの農家さんのペペロンチーノ」は週替わりぐらいで内容が変化していきます。
週替わりというのは、すごいですね。
例えば、今週は茄子が多かったけど、来週はズッキーニが多いというように、ぴったり同じものはほぼないと思います。
ほかにはどんなソースがありますか。
「贅沢ミートソース」は、野菜とお肉を、ほぼ同量入れて作ります。
砂糖を使用せず甘味は野菜で出しています。
豚肉は前橋の「近藤スワインポーク」を100%使っいます。
週末、量り売りで販売しているのすが、自分の家からお鍋を持って10人前買ってくれるお客さんもいます。
小麦の味をしっかりするように作っているので、ソースをかけずに、ただチーズをかけて食べてもおいしいです。
麺そのもののを味わえるんですね。讃岐うどんのぶっかけうどんみたいですね。
そうした食べ方をするなら、小麦の味が1番強い、福田農園(藤岡市)の全粒粉の小麦を使ったパスタがよく合います。
いろいろお話を聞いてきたのですが、起業してからの5年間を振り返って、今、どう感じていますか。
始めて良かったなという気持ちです。
経営者としたら、まだまだですが、もともと大きなハードルはあると思っていましたし、初めから人気店になれるとは考えていませんでした。
ただ、ハードルを越えることに、こんなにも時間やお金、労力がかかるのか、という感じはありました。
それでも続けてこられたのは、揺るぎない創業時からの思い、核があったからだと思います。
1番大変だったことはなんだったのでしょうか。
まず知ってもらうことでした。
すごくアナログ人間なので、SNSとかやったこともなかったのですが、周囲からアドバイスしてくださった方がいて、SNSを始めました。
自分の中で1日1回投稿しようと頑張っています。
はじめは蕁麻疹ができるぐらいいやでした(笑)。
もちろん、新聞に取り上げていただいたり、地域の方が口コミで広げてくれたことはたくさんあるんですけど、SNSはすごくやってよかったと思っています。
そのおかげでだんだんと知ってもらえるようになりました。
リピーターになる人はすごく多いですか。
すごく多いです。リピーター様で続いているようなもので、7割はみなさんもう一度来てもらっています。
取材後、パスタを購入し、自宅でいただきました。
「愛のある食卓のお手伝いをしたい」という中村さんの、やりたかったことが分かったような気がしました。
いつもと変わらないリビングの風景ですが、パスタが美味しく、家族との会話も弾みました。
次回は連載最終回。
中村さんが描く「これから」について聞いています。
コナリエ 前橋市新前橋町25-18 不定休 027-212-2276