小中学生がパソコンやタブレット端末を1人1台授業で使う「GIGAスクール構想」で、群馬県内の多くの学校で本年度中の配備が行われました。
前橋や高崎でもタブレット端末の授業活用が始まりましたが、前橋は児童生徒が家に持ち帰るのに対し、高崎では学校に置き、家には持ち込みません。
隣接する中核市で対応に差が出ましたが、どちらがいいのか議論を呼びそうです。
前橋は通信費を全額負担
持ち帰り方式を採用した前橋市はすべての通信費を負担します。家庭ではWi-Fiの利用を呼びかけていますが、市の出費はかなりのもの。財政負担は先日の市議会でも議論になりました。
ただ、端末を持ち帰らせ、自己負担とした場合、家庭の経済状況によって、使える子と使えない子が出てきてしまう。これは平等の観点からも問題があります。持ち帰らせるのなら、市が負担すべきでしょう。
家庭で端末を壊した時の対応をどうするかという問題もあり、先日の議会では、市教委は明らかな過失を除き、基本的には市が負担するとの考えを示しました。
高崎は児童生徒の習熟課題
一方、高崎市は学校に置いておくので、前橋に比べて通信費は抑えられます。端末への過度な依存や視力低下を懸念する声があるなか、子どもをICT機材から遠ざけておきたいと考える保護者もいるでしょう。
ただ、持ちかえらないので前橋方式に比べると、子どもたちが端末に触れる時間は必然的に短くなります。操作の習熟という点では、前橋の児童生徒が有利といえます。
どちらもメリット・デメリットがあり、費用対効果を見る必要があります。1年後、2年後とそれぞれのやり方を検証する必要があるでしょう。
ただ、導入期においては前橋方式で良かったのではないかと思っています。
IT機器は実際に手を動かし、試行錯誤しながら、数多く触れることが操作に慣れる一番の近道になります。新型コロナウイルス感染症の再拡大や自然災害があった場合でも、遠隔授業に対応しやすい。そして、何より、宿題以外に、興味や関心に任せて遊びの中で使うことで、大人の考えが及ばない面白い活用や斬新な発想が出てくるのではないでしょうか。